2008年5月13日火曜日

「創造都市への展望」を読み始めて

都市の活力の発生源が東京やニューヨークなどの大都市と中小都市とでは異なっている、ということが都市政策を考える上でとても重要ではないかと思った。

大都市(世界都市)には、世界的企業や国際金融センターがあることや、市場規模や人口規模が大きいことなどから、他都市から経済や文化を吸収して成長することで活力を維持できる。つまり、独自の経済・文化を持たなくても発展が可能であり、その発展とともに都市としての個性・文化が生まれてくるのではないか。

一方、中小都市では、全国的・世界的な市場の中で競争しても大都市のようなインパクトはなかなかもてないため、逆に大都市によって吸い取られて衰退することになる。
本書によると、ヨーロッパの「創造都市」とよばれる中小都市では、『地域でつくられる財を活用した輸入代替生産によって地域内の産業連関や技術・組織革新のメカニズムがつくり出され、都市の文化と経済が一体となった価値創造作用がビルトインされているのである。』
ヨーロッパなどの歴史的まち並みがうそ臭くないのは、そういう市民生活の中で形成されているからであって、けっして観光資源のための張りぼてではないからだと思う。しかも、まち並みは視覚的に表に見えている部分だけだが、日常生活の細かなところで地産地消が染み付いているんだろう。先日テレビで紹介されていたけど、ヨーロッパのある町で市民が古い本や家具を修理して大事に使い続けていて、そのための職業がなりたっていることには感動した。

このような創造性を持った都市になってはじめてグローバル社会の中で生き残る個性やブランド力を持てるのだろう。 大都市の発展とは逆パターンである。

大都市東京の中にある神楽坂や下北沢、根津などの個性ある魅力的な地域も同じ原理だと思う。僕は今神楽坂に住んでいるけど、そこで生活している人や働いている人が多くいて、チェーン店以外の様々な個店の商業活動が日夜・平日・休日ともに活発だから魅力を感じている。